研究概要 |
1.東北地方におけるCATVは, 既に5年以上のキャリアをもち安定した経営を行なっているもの,逆に,かなり不安定な状態にあるもの,また,放送開始を公表しつつも実質的中止に追い込まれたもの,そして,近い将来において華々しくスタートしようとするものと多様な様相を呈している. 2.酒田ケーブルテレビは地域教育の振興,地域情報の提供,住民相互のコミュニケーションの活発化を目的に昭和60年に営業を開始した. しかし,加入世帯がわずか500と少なく,現在,体制の建直しが行なわれている. 不振の何よりの理由はエリア(商店街)内の住民のニーズを十分に把握できなかったことである. したがって,今後は,地域に密着した情報をいかに提供していくのかが課題である. そのために,酒田市のニューメディア・コミュニティ構想や庄内情報プラザとのかかわりを強めていくことが必要とされる. 3.石巻テレビ放送は昭和60年に放送認可を得たが,実際に開局されることなく,現在,計画自体が中止状態となっている. 電柱・道路使用の見込みちがい,架線技術の問題,そして,加入世帯が50にも達しないことが理由とされている. しかし,地域情報に対する住民の関15の低さ,ニーズのあいまいさに最大の原因が存在している. 4.他方,都市型CATVを目指す仙台CATVは再送信に加えて,音楽・スポーツ・映画などのペイテレビ,ホテル宿泊者への番組提供,そして将来は,ホームショッピング,バンキング,セキュリティの実施を目指している. 昭和64年11月に1万世帯の加入によってスタートすべく,現在,鋭意準備中である. 指定都市の実現を目指す仙台市の地域情報化を促進するものとして人びとの期待は大きいが,その成否は住民のニーズを十分に把握し, 身近な情報,地域の産業・行政・医療・福祉・災害・文化などの情報をきめこまかく提供することにかかっていよう.
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