研究概要 |
本年は当研究の二年目にあたり, 予定通り「口語英語」に関する用法調査を進行することができた. 1.現代口語英語の音声面については, 海外放送から直接収集したテープ(とくにBBC放送のWorld Serviceを大量に収集), 市販のテープおよびビデオ類の分析・記述を試みた. とくに着目したのは"special context forms"(A.C.Gimson)と呼ばれる"connected speech"における音の特徴であり, 音の同化, 省略現象を中心として現代口語英語の特質の解明を行った. また, ごく自然な会話におけるスタイルとニュース放送などの形式ばったスタイルとの相違にも留意した. 2.現代口語英語の統語・文体面については, 音声として収集したテープ類の転写を主たる資料として口語英語に特徴的な統語・文体特徴を明らかにするよう努めた. 従来の文法〓ではほとんど考案の対象とはされなかった論評節(comment clause)などについても現代口語英語の特徴を明らかに認めることができた. また文体面に関しては, 音声面と関連してインフォーマルな会話と形式ばった口語英語(ニュース, 演説など)との相違にも注意を払い, とくに前者における特徴的な語彙, 構造が後者といかに異なるかという観点から記述を試みてきた. この点に関してはJ.Svartvik&R.Quirk,A Corpus of English ConversationおよびD,Crystal&D,Davy,Advanced Conversational Englishなどの成果と比較しつつ研究を進めてきた. 総合的に考えて, これまでわが国では光のあてられる機会の少なかった現代口語英語研究の一歩として有意義な成果が得られたと考えられる.
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