研究概要 |
61年度乗鞍山上に構築したシステムに改良を加えて,データ取得, 解析を行なった. 装置の屋外部分の風雪対策は完全であることが実証された. 今年度は以下のような改良を行った. 1)高速タイミング用のシンチレータ箱内の光量増加をはかるため,内部を全面白色とした. この光量増加により, 高速タイミングは約0.4ns改善された. 2)さらに高速タイミング用シンチレータ箱上に0.5cm厚の鉛板を載せ, 入射してきた高エネルギーγ線を電子シャワーに変換するようにした. これにより実効的電子数の増加が約1.7倍になり, 光量増加によるタイミングの改善, 入射宇宙線のエネルギー下限を下げることが可能になった. 3)データ取得に光ディスク・システム(両面800MB)を用いることにより大容量データの取得が可能になり, 長期間約1HZの頻度で無人のシステム運転が可能になった. 結果の予備的分析では, 到来方向決定精度は△Q〜0.8°(10^<15>eVの宇宙線に対して50%が△Q以内の角度で到来方向を決定できる)を得ている. また角度精度は悪くなるが, 10^<13>eV領域までしきい値を下げて, 実用的な角度決定かできることもわかった. 現システムは16台のシンチレータを用いて角度決定を行っているが, モンテカルロ・シミュレーションとの比較により, シンチレータの数を増すことにより△Q〜0.2°までの角度決定が可能(10^<15>eV領域)なことが確実になった. これによりチベット高原等の高山で大規模システムを展開することで, 信頼のおける10^<15>eV台のγ線天文学が実現できると結論した.
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