研究概要 |
本研究の目的は,外部磁界中に保持されたスフェロマックプラズマに対して,プラズマ銃を用いて磁気ヘリシティーを注入し,その配位の維持ないし肥大化を試みることにある. 本年度においては昨年度の研究によって特性が明かにされた同軸型プラズマ銃に関し,実験本体となるTSー3型スフェロマック発生器に取り付け可能な構造を有するものを設計,製作して,実際にTSー3装置に取り付けた. 予備的な実験によって,このプラズマ銃を用いてTSー3装置内にスフェロマックプラズマの生成を確認することができた. さらにスフェロマックプラズマの位置的安定性を確保するため,容器の他端にもう一台同銃型プラズマ銃を設置することを発案しその設計を行い,64年度初頭にそれを完成,設置する計画を遂行することにした. 以上の研究と並行して,前年度に完成させたフラックスコンザーバー付き同軸型スフェロマック発生器を活用して,磁気ヘリシティー注入についての実験を行った. 具体的には,150〜450μsという長パルス放電によってフラックスコンザーバ内に長寿命のスフェロマックを維持させ,その維持に関与すると思われる入口領域(フラックスコンザーバーと同軸銃とを接続する区間)での磁界の分布について測定を行なった. その結果,この領域にバイアス磁界の5〜10倍もの軸方向ポロイダル磁界が生じていることが判明して,従来云われていたように,同軸銃先端部でのMHD緩和効果が重要な役割を果していることを実験的に確認することができた. さらに入口領域に補助コイルを設けてそのバイアス磁界を強めたところ,フラックスコンザーバー内での配位がより安定化されるという興味ある結果を見出した. この場合の磁界配位構造は,従来理論的検討が行われてきた,云ゆるバンピーモピンチ,あるいはフラックスコアー・スフェロマック等と類似のものと考えられるので,その確認を行うべく実験を継続中である.
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