研究課題/領域番号 |
61460122
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榊 裕之 東大, 生産技術研究所, 助教授 (90013226)
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研究分担者 |
荒川 泰彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30134638)
浜崎 襄二 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00013079)
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キーワード | 量子井戸レーザ / 高電子移動度トランジスタ / 二次元電子 / 再結合定数 / フォノン放出 |
研究概要 |
量子井戸レーザや高電子移動度トランジスタなど量子ヘテロ構造を利用したデバイスでは応答速度など特性の多くが再結合やエネルギー放出など電子の動的過程で支配される。本研究はこの過程を調べ、デバイスの究極特性や高性能化の指針を明らかにすることを目的とする。 (1)量子井戸内の自由キャリヤの発生再結合過程の解明 量子井戸内の再結合過程は、これまで励起子状態の形成や非発光中心の関与のため明らかでなかった。本研究では、量子井戸にドーピングを施して励起子効果を抑制するとともに、非発光過程の寄与の少ない試料を作製し、ピコ秒レーザを用いて螢光の時間分解分光を行った。その結果、1、再結合の時定数τは、室温では電子の面密度Nsに逆比例し、τ=【(BNs)^(-1)】とした時の係数Βが2×【10^(-4)】cm2/sであること、2、温度を下げるとτは減少し、低温の極限では400psに漸近すること、3、これらの観測事実はバンド間発光の理論によりよく説明できることなどが明らかとなった。 (2)変調ドープGaAs/(AlGa)Asヘテロ構造における二次元電子の動的過程 高い移動度を示す二次元電子が加速された時にフォノンを放出して、エネルギー緩和する過程は、ヘテロ構造を用いた超高速トランジスタの応答速度を決定する上で極めて重要である。本年は、磁気抵抗振動の入力電力依存性を測定し、電子のエネルギーは低温では音響フォノンの形で、高温では光学フォノンとして放出されること、更に前者の結合を示す変形ポテンシアルが11eVであることが示された。この外、電子の飽和速度の温度依存性などから光学フォノンと電子の結合の強さに関する新知見を得た。
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