研究課題/領域番号 |
61470024
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
安藤 喬志 滋医大, 医学部, 教授 (70029867)
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研究分担者 |
藤田 光恵 滋賀医科大学, 医学部, 教務職員 (40175576)
木村 隆英 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70167378)
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キーワード | 遷移状態構造 / 反応速度同位体効果 / 炭素-13 / 炭素-14 / 窒素-15 / 重水素 / 脂肪族求核置換反応 |
研究概要 |
アルキルトランスファー反応が種々の要因によって加速される際に、その遷移状態構造がどのように変化するかを明らかにする目的で、主として反応速度同位体効果を用いて研究を進め、以下の結果を得た。 1.相関移動触媒によって加速されるアルキルトランスファー反応の遷移状態構造が、求核種への水和によってどのような影響を受けるかを明らかにするため、4級ホスホニウムイオンを用いるオクチルエステルの脂肪族求核置換反応について実験を行ったところ、水和は反応速度のみならず活性化パラメータに大きな影響を与えること、しかしα-2次重水素同位体効果はほとんど変化しないことが分った。この結果は、水和による減速は遷移状態構造のTightnessにはあまり影響を及ぼさないことを示唆する。 2.電子効果による加速がメチルトランスファーの遷移状態に及ぼす影響を調べるため、反応中心炭素-13および14、α-2次重水素、求核種窒素-15等の反応速度同位体効果を測定した。それらの結果は、遷移状態の変化が主として反応座標に平行な方向に起こり、垂直方向には変化し難いことを示した。このことはベンジルトランスファーの遷移状態が電子効果によって反応座標に垂直方向にも変化したのとは対照的である。また平行方向の変化の量も、ベンジルにくらべてメチルは動きが小さい。これらのことは、反応中心における電子の供給量が脂肪族求核置換反応の遷移状態の性格を決定する大きな因子であることを示すものである。 3.溶媒効果と遷移状態構造の変化との関連を探るため、アセトニトリル、四塩化炭素、ベンゼン、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒とメタノールや第3ブタノールなどのプロトン性溶媒との混合溶媒中でのメチルトランスファー反応において、炭素-13および重水素反応速度同位体効果を測定中である。
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