研究課題/領域番号 |
61480048
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中筋 房夫 岡山大, 農学部, 助教授 (20109317)
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研究分担者 |
園山 裕 岡山大学, 理学部, 助手 (20181836)
吉田 敏治 岡山大学, 農学部, 教授 (50040895)
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キーワード | 移動 / 翅型多型 / マイグレイショントラップ / ウンカ類 / 遺伝的機構 / カタビロアメンボ類 / 変動環境 / 安定環境 |
研究概要 |
昆虫の移動に関する総括的レビューを行い、従来から分散との区別が瞹味であった移動の定義を「離れた生息場所の動きとし、多くの場合飛翔に適した個体がつくられ、その飛翔は永続的、方向的である」とし移動型多型の意味を重視した。移動昆虫を方向別に捕獲できる特別のネットトラップ、マイグレイショントラップを用いて定期的に移動中の鱗翅目昆虫を捕獲した。その結果、従来から移動(またはその可能性)が知られていたコブノメイガ、シロオビノメイガ、アワヨトウ、イチモンジセセリ、オオバコヤガ、リスモンヨトウなどが大量に捕獲され、夏、秋季とも西方向を中心に偏った飛翔がみられた。そのほかスジキリヨトウ、アワノメイガ、フタテンヒメヨトウなど移動性が確認されていない種も偏った方向飛翔をしていることが分かった。 イネ害虫ウンカ類には移動型の長翅成虫と定着型の短翅成虫の2型が存在し、幼虫期高密度下で前者、低密度下で後者が出現する。この翅型多型の出現の密度感受性レベルが遺伝的に決定されているか否かを、セジロウンカ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカを用いて調べた。3種とも翅型別に選抜を重ねると、長翅系統はいずれの種でも容易に選抜できるが、短翅系統はセジロウンカ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカの順に選抜が困難であった。短翅選抜の困難さは短翅雄出現の難易とかかわっており、短翅雄を欠くセジロウンカでは短翅系は全く選抜できなかった。また各種の翅型の遺伝率を求めた。ウンカヨコバイ類の捕食性天敵、カタビロアメンボ類3種ケシカタビロ、ホルバートカタビロ、キュウシュウカタビロアメンボの翅型多型の密度感受性を比較した。その結果、変動環境に生息する前2者に比べて定安環境下にすむ後者は過密条件下でも有翅型成虫が出現しにくいが、出現した有翅型は絶食耐性が高く、産卵前期間に長い典型的移動形質を示した。
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