研究課題/領域番号 |
61480097
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 忠雄 名大, 医学部, 教授 (50078763)
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研究分担者 |
高井 章 名古屋大学, 医学部, 講師 (50126869)
徳納 博幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (60155520)
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キーワード | 平滑筋 / イオンチャネル / 表面電荷 / パッチクランプ / Kチャネル |
研究概要 |
平滑筋線維の細胞膜に存在するイオン・チャネルの性質を調べるため、モルモット盲腸紐から個々の細胞を酵素処理で単離し、細胞膜の小部分(パッチ)に含まれるイオン・チャネルの開閉に対応して流れる電流を膜電位固定法により記録した。細胞膜に先端約1μmの径のガラス管電極を密着させたあと、この部のパッチを細胞から分離させると、電極内の液が細胞外液に、標本槽の液が細胞内液に相当することになる。本研究ではこの条件下で、細胞内Caイオン(〔Ca〕i)によって制御されているKイオン・チャネルについて分析を行なった。〔Ca〕が0.01μMのときは殆んど閉じた状態を保つが、0.03μM以上になると開いた状態になる確率が急激に増加し、1μM程度で開く確率が最大に達する。この時の平均持続時間は20msec程で、閉じた時間の平均は1msec程である。このチャネルの電圧・電流特性は膜内外のK濃度を変化させるとKイオンのみを通すと仮定したときの定電場理論に従うので、Kイオンに対して非常に選択性が高いと考えられる。外液のK濃度(〔K〕o)を144mM、細胞内のK濃度(〔K〕i)を6mMに固定して、細胞内のNaを蔗糖で置換し、イオン強度を下げていくと、内向きK電流の増加がみられる。このとき、電圧・電流特性の直線部分は電圧軸についてKの平衡電位の方へ平行移動し、Kの平衡電位および最大コンダクタンスには変化がみられない。このような結果は膜の表面に負の電荷が存在し、イオン強度を低下させると負の値が大きくなると考えれば説明つく。一般にCaイオンは負電荷を中和させる力が強いとされているのでまずNaを蔗糖で置換し負電荷を大きくして、〔Ca〕iを増していくと、このチャネルの電圧・電流特性はNaを増したときと同じように回復する。Naをコリンや4価のアンモニウム塩で置換すると負電荷が減少し、正の電荷を帯びるような結果が得られる。このように、このチャネルは膜表面の電荷で影響される性質をもつといえる。
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