研究概要 |
1.DNA pol αーprimaseのADPーリボシル化を検討中発見した, プライマーゼ促進因子(PSF)の作用機構を検討し, PSFはブライマー合成に要求される基質濃度を減少させるのみならずVmaxも著しく上昇させる事を明らかにした. 極めて微量(数ng/0.2ml)のPSF存在下に8ー10ヌクレオチドのprimerの合成速度は約50倍も促進され, この事実はPSFがin vivoに於いてもDNA複製複合体を構成して機能する可能性を強く示唆する. (論文3) 2.精製したポリADPーリボース合成酵素が, Ca^<2+>,phospholipidー依存性プロテインキナーゼにより特異的にリン酸化され, 活性阻害を受ける事を明らかにした(論文2,6). 3.in vivoに於けるDNAポリメラーゼαのADPーリボシル化を明らかにすべく細胞培養液中に加えたNAD^+,NMNの効果を検討中, これらの物質は白血病細胞株L1210のvariant(L1210K:大分医大由来)のendogencusなポリADPーリボース合成活性を著しく促進する事がわかった. 種々のNAb^+のanalog,分解産物について検討した結果, この効果はNamーribose部分によるものである事がわかった. 他の細胞株について比較した結果, 効果の程度は株毎に著しい差があり, L1210細胞は〔^<14>Cーnicotinamide〕NMNを速い速度で細胞内に取り込み〔^<14>Cーnicotinamide〕NAD^+に合成する事から, 上記の現象はこの細胞のNamーriboseもしくはNMNを取り込む性質によるものと推定される(論文4). 4.hybridoma STKー1細胞株培養液より採取した抗DNAポリメラーゼの抗体を用いHL60細胞のDNA損傷時にDNAポリメラーゼαがADPーリボシル化修飾を受けるかを検討中であるが, 現在の所明確な結論を得るに至っていない.
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