研究課題/領域番号 |
61480124
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
吉原 絋一郎 奈良県立医大, 生化学医学部, 助教授 (70075042)
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研究分担者 |
神谷 知弥 奈良県立医大, 生化学医学部, 教授 (50075040)
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研究期間 (年度) |
1986 – 1988
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キーワード | DNA-polα-primase / Primase-stimulating factor / DNApolymeraseβ / terminal deoxy-nucleotidyl transferase / Poly(ADP-ribosyl)ation |
研究概要 |
我々は、部分精製した牛胸線DNA pol α-primaseを再構成ポリADP-リボシル化反応系で保温処理すると、この酵素のDNA polα活性並びにprimase活性が著しく阻害される現象を見いだし、その機構を検討した。この過程で高度に精製した酵素のpolα活性はヒストン等の塩基性蛋白質により約10倍活性化される事、又、Primase活性は極めて微量の特異的活性促進因子(PSF)を必要とする事を見いだし、これらの促進因子とDNA polα-primasaのADP-リボシル化による阻害との相関を詳細に調べた。まずヒストンに関しては平均鎖長10のADP-リボース鎖による修飾は促進効果に影響を与えなかった。次にPSHをほぼ純粋に精製し、この因子が146及び47kDaのポリペプチドよりなり、primaseの基質(rXTP)要求濃度を著しく低下させる事を見いだし、この因子に対するADP-リボシル化の影響を調べた所無効果であった。DNA pol α-primaseを更に高度に精製しても同様にADP-リボシル化により阻害さつれる事、又、この阻害はprotein-(ADPR)n結合を切断するアルカリ処理によって回復する事から、我々はDNA polもしくは、primasaの酵素分子自身がポリADP-リボシル化され不活性化されると結論した。本研究の過程で関連諸酵素についても検討し、DNA polymeraseβ及びterminal nucleotidyl transferaseがポリADP-リボシル化修飾により阻害されることを明確に証明した。本研究の最終年度に当たりDNA polα-primaseのポリADP-リボシル化のin vivoでの証明を試みたが、主としてこの修飾がDNA断端の発生した場所近傍に結合した酵素に限定されること及び細胞当たりの分子数が他のADP-リボシル化蛋白質に比べ圧倒的に少ない事の為に、現在の所明確な証明を得るに至っていない。又、この間の研究成果として人白血病細胞HL60より本酵素の欠損株(親株の7%の活性を示す)を分離することに成功した。
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