研究概要 |
免疫応答に関与するリンパ球の相互作用において, 数々の免疫機能分子がそのシグナル伝達において複雑に関与していることが判っている. そのなかでも, T細胞に最も早くから出現し, その分化ならびにエフェクター相において, 重要な役割をしているマウスCD2分子の解析をおこなった. まず, CD2抗原の構造とその発現を明らかにするために, マウスCD2をコードするcDNAのクローニングをおこなった. A.Williamsより供与されたラットCD2(OXー34)のcDNAクローンであるpRCD2ー6をプローブとしたノザンハイブリダイゼーションにより, マウス胸腺細胞, 脾臓のT細胞, 及びT細胞株に特異的に存在する1, 3kbのmRNAが同定された. H.Saitoより供与されたマウスCTLクローン2C由来のcDNAライブラリー7×10^4クローンをpRCD2ー6をプローブとしてスクリーニングし, 7個のクローンを得た. サブクローニングの後, restriction mappingにより, 各クローンを比較し, 全長を含むと思われるクローン(pMCD2ー2)よりExoIIIを用いたdeletion mutantsを作製し, dideoxy法により塩基配列を決定した. その結果, マウスCD2cDNAは約1,100塩基対より成り, 341残基のアミノ酸をコードしていることが示され, hydrophobicity analysisより, マウスCD2は20残基のリーダーペプチドを有し, 321残基のアミノ酸より構成されること, 184ー208残基は疎水性アミノ酸に富む膜通過部位と考えられ, 183塩基の細胞膜外部, 25残基の膜通過部と113残基の細胞質部から成ることが明らかになった.
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