研究概要 |
1.Ca^<++>動員と微細構造との関連を, Aequorin処理血小板のトロンビン, A23187によるCa^<++>動員前, 動員初期, ピーク時点において検討した. 基礎として, Aequorin処理過程における形態も検討した. 円板形で偽足形成の少ない血小板は, PGE_1およびEGTA処理により球状化し偽足形成を行う. Aequorin負荷後細胞小器官は十分保存されていた. トロンビンなどの刺激によりCa^<++>動員初期から小器官の中心化が進行するが, Ca^<++>貯蔵部位と推定されている暗調小管系に著明な変化はみられなかった. 凝集塊内部の構造は対照と差なく, Aequorin法による凝集の検討の妥当性が示された. 2.新しい一家系2症例についてCa^<++>動員を検討したが, 著明なCa^<++>動員の異常はみられなかった. 3.前年度からの症例についての基礎検討で, TMBー8処理血小板のCa^<++>動員を検討した. 400ー800μMのTMBー8処理正常血小板は, 形態, PRPでの凝集, ATP放出障害の面から, 本症例の血小板と酷似する. TMBー8はSTA_2によるCa^<++>動員を完全に抑制することが見出され, 前年度の症例の成績と異なった. しかしTMBー8はA23187によるCa^<++>動員は抑制しない. これはSTA_2によるCa^<++>動員がA23187のそれと異なること, 症例の異常はSTA_2によるCa^<++>動員障害ではないことを示唆すると考えられる. またTMBー8は症例にみられたAdrenalin potentiation (Ap)によるSTA_2凝集の補正を惹起しないことから症例のApはSTA_2によるCa^<++>動員を基礎として起こすと考えられた. まとめ:Aequorin処理血小板の凝集像は障害されない. 症例の障害はTMBー8でシミュレート出来ず, STA_2によるCa^<++>動員後の過程にある.
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