研究概要 |
学校歯科保健活動の場で用いられるフッ化物洗口液は、フッ素濃度500ppmのものが主流であるが、このフッ素濃度をより低濃度にできれば、学校での集団管理上の安全性の向上,さらには低年齢児への応用の可能性など、フッ化物洗口法の普及が進むものと思われる。 本研究では低濃度フッ化物洗口液の有用性を明らかにすることを目的として、フッ素濃度500ppm,100ppmの洗口液を用いたフッ化物洗口法を小学校に導入し、その齲蝕予防効果を比較検討した。 研究対象はフッ化物洗口群321名(追跡調査ー5年間,男子163名,女子155名),対照群489名(断面観察,男子244名,女子245名)である。フッ化物洗口法は、フッ素濃度500ppm,100ppmの各洗口液を用いて週5回法により毎日給食後に洗口を行わせた。口腔診査は各小学校とも毎年5月に視診型診査を実施した。 フッ化物洗口群のDMFT indexの増加は高学年になるにしたがい抑制され、対照群に比較して高い齲蝕抑制効果を示した。洗口群間の比較では、500ppm群と100ppmの間に差はなく同程度の齲蝕抑制効果が認められた。歯種別には【1!_】,【2!_】,【4!_】,【b!_】【b!~】の歯種において、フッ化物洗口群の齲蝕抑制効果が高く、洗口群間の比較では、両者に明らかな差は認められなかった。今回の研究では、低濃度フッ化物洗口液(100ppm)を小学校児童に5年間継続実施した結果、従来から用いられている500ppm洗口群と同様の高い齲蝕予防効果が得られ、低濃度フッ化物洗口法の有用性が示された。しかし、研究対象がまだ少数であるため、今回設備備品として設置されたコンピュータのソフトを充実させ、データ処理の能率化を計ることにより、62年度,63年度の成績を加えて継続的な観察を行う予定である。
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