研究概要 |
学校歯科保健活動の場で用いられているフッ化物洗口液はフッ素濃度500PPmのものが主流であるが, このフッ素濃度をより低濃度にできれば, 学校での集団管理上の安全性の向上, さらには低年齢時への応用の可能性の拡大などフッ化物洗口法の普及が進むものと思われる. 本研究では低濃度フッ化物洗口液の有用性を明らかにすることを目的としてフッ素濃度500PPmおよび100PPmの洗口液を用いたフッ化物洗口法を小学校に導入し, そのう蝕予防効果を100PPmの洗口液群が6学年となった, 昭和61年度より比較検討している. 研究対象は, フッ化物洗口群635名(追跡調査, 男子323名, 女子312名), 対照群489名(断面観察, 男子244名, 女子245名である. フッ化物洗口法は, フッ素濃度500PPm, 100PPmの各洗口液を用いて週5回法により毎日給食後の洗口を行わせた. 口腔診査は各小学校とも毎年5月に視診的診査を実施した. フッ化物洗口群のDMFTーindexの増加は抑制され対照群に比較して高いう蝕抑制効果を示した. 洗口群間に比較では, 500PPmと100PPm群の間に有意の差はなく同程度のう蝕抑制効果が62年度100PPm群の成績からも得られた. 6学年での100PPm群のDMFTーindexは61年度群男女2.13, 女子2.34を示し, 62度群男子2.18, 2.55を示した. 歯種別にみても前年度と同様1, 2, 4, 6, 6にフッ化物洗口群において高いう蝕予防効果が認められた. 洗口群間においては明らかな差は認められなかった. 今回の研究では, 62年度の100PPm洗口群の成績を加え, 100PPm洗口液によるう蝕抑制効果が61年度100PPm洗口群と同様の傾向を示し, 低濃度フッ化物洗口法の有用性が認められた. 今後は63年度100PPm洗口群の成績を加え, 低濃度フッ化物洗口法のう蝕予防効果について断続して検討し, さらに統計分析のためのコンピュータソフトの充実を図る予定である.
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