研究概要 |
相互作用銀河の"衝突による変形"を観測する事により、銀河周辺に分布しているマッシブ・ハローの規模を推定しようとの研究である。以下の結果が得られた。 1.本補助金で購入したESO/SERC南天写真集(フィルム・コピー)からコントラスト誇張法で銀河団の写真を作って調べた結果、ノーマル・プロセス法では見えない暗い銀河間ブリッジやテール構造を検出できて、相互作用銀河発見の極めて有効な手段である事がわかった。2.この手法をヘラクレス座銀河団に応用したところ、6個のリング状銀河を新たに発見した。3.そのうちの1個,Dressler36についてハーバード天文台の、Huchra博士に観測を依頼したところ、MMT望遠鏡でデーターを得て、送ってくれた。それによると、スペクトルはセイファート2型を示し、リングはビーズ状不安定を起こしている事がわかった。4.ビーズ状不安定についてのN-体数値実験を観山氏(京大)と行ったところ、ハロー質量がリング質量の4倍を越えると、不安定性が著じるしくおさえられてしまう事がわかった。もう少し精度をあげ、計算を続行の予定。5.研究分担者である松田は、ポーラ・リング銀河のガスの運動を調べるため、数値計算コードを開発した。これを用いて、軸対称からずれた重力場の中のガスの運動を調べた結果、わずか1%のずれの中でも、ガスは渦状衝撃波を作って敏感に反応する事がわかった。6.ブヨブヨな構造で、潮汐作用を受け易いと考えられている矮小楕円銀河について、その表面輝度分布を測定した。その結果、銀河団中心に位置しているものと、周辺部のものとに構造上の著じるしい差はない事が判明した。 次年度は、今年度に得られた結果をより詳細に検討し、マッシブ・ハローの構造について新らしい知見を得たい。
|