研究概要 |
銀河の周辺部には"光"で見える質量の数倍にも達する"みえない物質"が分布している事が渦状銀河の回転曲線や楕円銀河のX線放射の検出によって指摘され, いわゆる"missing mass"として知られている. これらの物質は光や電波, 赤外線, X線などでは直接的には検出不可能で, ただ重力を生み出す源としてしか作用せず, 従ってその規模や分布の様子を調べる事は極めてむつかしい. 本研究は相互作用する銀河の"衝突による変形"を観測する事により, 銀河周辺に広がっているマッシブ・ハローについての知見を得ようとの研究である. このような立場から, 過去2年間, 次の研究を行って来た. (1)ヘラクレス座超銀河団内のリング状銀河のサーベイ, (2)六分儀座のリング銀河のセイファート1型中心核, (3)相互作用銀河のArp 90の中心核の活動と銀河の衝突, (4)おとめ座銀河団内の矮小楕円銀河におよぼす環境効果, (5)軸対称からずれた重力場内でのガスのレスポンスによる衝撃波の発生, (6)巨大なアークを有する特異銀河IC1209, (7)Hoag型銀河NGC6028のリングは銀河同志の衝突によって生じたのか否か? マッシブ・ハローの問題は現代天文学の大きなテーマの一つである. この2年間の研究ではいくつかの衝突銀河について貴重なデータが得られたので, 今後とも研究を継続し, マッシブ・ハローの実体によりせまって行きたい.
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