円筒部材を対象として有限プリズム法による応力波動の解析結果を松岡らのフーリェ・ハンケル変換による厳密解の結果と比較することにより、解析精度の検討を行った。次に数値計算として内部構造の劣化を弾性係数の低下やクラックの発生としてモデル化し、応力波速度低下に及ぼす影響を検討した。また複合材料部材の動的応答の問題として、二層円板部材を対象としてフーリェ・ハンケル変換を用いた解析を行ない、内部構造の弾性係数や半径の変化が動的応答に及ぼす影響を明らかにした。 次に最近5年間の橋梁の補修例をアンケート調査・研究することにより、構造物の健全度評価と改築の実情について集計した。これらの結果から早期に内部の損傷の進行を発見し、補修しておけば大規模な改築を必要としなかった事例が多数あることが判明した。また内部欠陥を有する二層円板モデルを対象として、実験的研究により応力波の散乱状況や内部欠陥の同定を解析した。内部構造の同定については、応力波の波長に比較して相対的に大きな規模の欠陥であれば良い精度で同定できた。散乱については散乱波のスペクトル解析結菓のピーク振動数に内部構造による差異を検出することができ、数値解析による固有振動数で対比して内部構造をある程度判定できる。 これらの解析については次年度にさらに詳細に検討する予定である。
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