研究課題/領域番号 |
61550582
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研究機関 | 武蔵工業大学 |
研究代表者 |
永井 正幸 武蔵工大, 工学部, 助教授 (80112481)
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研究分担者 |
吉野 一道 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (40061535)
桜井 正 武蔵工業大学, 工学部, 講師 (70061538)
西野 忠 武蔵工業大学, 工学部, 教授 (30061485)
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キーワード | 焼結膜 / 水酸アパタイト / 電気伝導 / 粒界伝導 / 表面伝導 |
研究概要 |
厚さ方向に単一粒子あるいは数粒子から成る水酸アパタイト焼結膜を作製し、その組織・構造を調べるとともに微小電極を付与して、その電気伝導度を測定した。実験に用いた試料は炭酸カルシウムとリン酸から常法に従って調製し、沈殿物を凍結乾燥した後、所定温度で仮焼して得た。粒子は球状で直径0.2〜0.3μmであった。これを有機系樹脂、溶媒および可塑剤と均一に混合してスラリーとした後に、ドクターブレード装置を用いて製膜した。未乾燥時の膜厚を100〜500μm程度の範囲で変化させ、種々の条件を検討した。溶媒揮発後の乾燥膜の膜厚は30〜200μm程度であった。これを適当な大きさに切断断して、電気炉中にて有機系樹脂を飛散後本焼成を行った。現段階では厚さ方向に単一粒子あるいは数粒子から成る膜は、水酸アパタイトの粒成長が遅いこともあって得られていない。しかし、原料粉体の調製条件やスラリーへの分散状態等を検討することにより、単一粒子から成る膜を得ることも可能になると予測される。 焼結後の膜厚が50〜100μmの膜に関しては、電子顕微鏡観察・ESCAによる表面分析あるいはIRやX線による同定等を行った後、微小電極を付与して電気伝導度を測定した。その過程で当初予測しなかった空気中の水蒸気や炭酸ガスが試料の電気伝導度に影響を及ぼすことが確認された。水酸アパタイトの表面には、水酸基が存在しているが400℃以下の温度では吸着した水分子も微量存在して、それが電気伝導度に関与していることが示唆されている。これは電気伝導度の温度依存性、電流一電圧特性、湿度による影響等から、イオンによる伝導が支配的であることから言える。更に、表面にハロゲン化物などの異物質を添加することにより、電気伝導度や雰囲気依存性を著しく増大させることも可能で、今後粒界伝導に加えて表面伝導を考慮した系統的実験を行う予定である。
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