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1986 年度 実績報告書

希土類金属錯体の特性を利用した新規有機合成反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 61550642
研究機関九州大学

研究代表者

藤原 祐三  九大, 工学部, 助教授 (10029481)

研究分担者 磯村 計明  九州大学, 工学部, 講師 (80037887)
キーワードランタノイド塩化物 / フリーデル・クラフツ触媒 / 希土類塩化物によるフリーデル・クラフツ反応 / 回収・再使用可能触媒 / 三塩化ルテチゥム / 三塩化ジスプロシウム / 三塩化イッテルビウム / 三塩化ガドリニウム
研究概要

本年度は当初に計画した実施計画のうち、ランタノイド触媒によるFriedel-Crafts型反応の開発を目指して重点的に研究を進め、希土類塩化物(Ln【Cl_3】)がベンゼン等のアルキル化及びアシル化反応に対して高活性を有し、しかも塩化アルミニウム等の従来の触媒と異なり反応後の水処理によって分解しないので回収・再使用が可能という大きな特長を有することが明らかになり、新しい触媒の開発に成功した。本年度に得られた主な成果は次の通りである。
1.三塩化ランタノイド(Ln【Cl_3】)のうち放射性を有するPmを除く全てのランタノイド(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)塩化物は400℃で30分間【N_2】気流中で乾燥して活性化するとベンゼン等のアルキルハロゲン化物によるアルキル化反応の良い触媒となる。
2.三塩化ランタノイドの活性を塩化ベンジルのベンゼン及びトルエンに対する競爭反応から得られるkT/kB値から評価し、Ln【Cl_3】を充分乾燥した場合は、kT/kB=5.6となりAl【Cl_3】/【CH_3】【NO_2】系(kT/kB=5.4)と同程度の活性を有することが明らかになった。また、ランタノイドの中では重希土のLuが最も活性が高くそれより原子番号の小さいGdに向うにつれて徐々に活性が低下する。
3.反応の配向性を塩化ベンジルとトルエンの反応を中心に検討し、反応はO,P配向性を示すこと、更に原子番号が下がるにつれてP体が減少しO体が増加することが明らかになった。一方m体は全体を通じて生成割合に変化は認められなかった。また、Al【Cl_3】の場合と異なりm体への異性化は起こらない。
4.触媒の回収法の検討の結果、反応後の水層を濃縮する方法の他に、濾過法やデカンテーション法も有効で、特にデカンテーションにより反応後Ln【Cl_3】を分離して再使用する方法がよいことが明らかになった。以上のようにLn【Cl_3】は回収・再使用が可能な新しいタイプのFriedel-Crafts触媒であることが明らかになり更にアシル化を検討中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] 三根法興: Chemistry Letters. 1986. 357-360 (1986)

  • [文献書誌] 侯召民: Chemistry Letters. 1987. 305-308 (1987)

  • [文献書誌] 侯召民: J.Chem.Soc.,Chemical Communications.

  • [文献書誌] 侯召民: J.Am.Chem.Soc.

  • [文献書誌] 大塚,中村,山崎 編 藤原祐三: "化学増刊109「錯体触媒化学の進歩」"ランタノイド触媒"" (株)化学同人 植下定一, 270 (1986)

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公開日: 1988-11-09   更新日: 2016-04-21  

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