研究概要 |
1.カンキツ類の花芽分化促進に関して, PP-333を処理した葉及び枝梢内の可溶性タンパク含量は, 無処理のものに比べ著しく高かった. そこで, このタンパク含量の差異を更にくわしく明らかにするため, 電気泳動法を用いて, バンドのパターンを調べたところ, 400〜500KDのところのバンドの濃淡が両者で極めて明瞭であったことから, このタンパクが花芽分化と関連しているのではないかと考えられた. また, 一方, GA_3を葉面散布したものについても同様の調査を行ったところ, 処理した固体の葉及び枝梢内の可溶性タンパク含量は無処理のものより低くなり, また, 電気泳動装置による上述の特殊タンパクのバンドの発色は薄かった. なお, コーティング肥料Nutricote 100と硝酸ナトリウムをN肥料源として施用し, 着花に及ぼす効果を比較したところ, 前者の法が花芽着生が極めて良好であった. そこで, 上述と同様の調査を行ったところ, No_3-Nより, Nutricote-100の方がタンパク量も多く, なお, かつ400〜500KDのタンパクの染色も濃厚であった. 2.ブドウの育種年限短縮に関して, 前年度開発した胚の休眠制御の手法を用いて, 幼胚培養法で得た実生を培養条件下で急速に発育させるための方法を調査した. その結果, 頂芽や腋芽の萌芽・分化を促すにはBAなどのサイトカイニン類が, 発根を促すためにはNAAなどのオーキシン類が有効であることが分かり, その際, MS培地, BA-0.5ppm, ショ糖-3%, 25°C, 12時間日長, 2か月1回の継代では, 節位分化速度は約10日に1節であった. 培養200日以上を経過した現在でも同様の割合で発育中である. 今後は, 更にこの速度を早める技術や培養条件から自然条件へ順化させる技術を検討する必要がある.
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