研究概要 |
昨年においてウシとブタのインヒビンに対する抗体を作成した. この抗体を用いて本年度はウシ, ブタのインヒビンはもとよりラット, ヤギとヒトのインヒビンの血中レベルの変動を明らかにすることに成功した. ブタのインヒビンのRIA系を用いてラットのインヒビンの測定が可能であった. 性周期中の末梢血中のインヒビンを測ったところ興味深い結果を得た. 排卵前のGTHの放出後のFSHの, カンドサージは末梢血中のインヒビンの減少によることが明らかとなった. さらにその後においても, 基底レベルのFSHの変動はインヒビンの変動と逆相関を示してした. ブタのFSHの分泌はラットよりさらにインヒビンとの関連が深いことが明らかとなった. つまり卵胞期のインヒビンの上昇に伴いFSHは抑制され, LHのサージ期には殆んどFSHの上昇は見られず, 排卵時にインヒビン濃度が減少することによってFSHの値は頂値を示した. . またヤギにおいて排卵期のインヒビンの上昇によりFSHは抑制され, GTHサージ後排卵に伴うインヒビンの減少によりFSHのセカンドサージが誘起された. これらのインヒビンとFSHの変動は多胎動物において非常に似たパターンを示すことから, 多排卵のメカニズムインヒビンが深くかかわっていることが示唆された. 一方, 単胎動物であるウシやヒトの性周期中のインヒビンの分泌パターンは多胎動物のそれとは異なるパターンを示していた. 卵胞期に卵胞が発育するに従いインヒビン濃度は上昇した. このインヒビンの上昇によりヒトとウシのFSHはゆるやか抑制された. GTHのサージ後インヒビン濃度は一過性に減少し, ウシにおいては小さなFSHのセカンドサージが見られたが直ちに増加するインヒビンにより抑制された. ヒトにおいてはさらに黄体期においても顕著なインヒビンの分泌が起こりFSHの放出を完全に抑制した. 単胎唐物の黄体期のインヒビンの上昇は卵胞発育の抑制機構に関与していると思われる.
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