人甲状腺におけるTSH受容体の局在については、昨年度の奨励研究よりひき続きTBIIを精製することよりTSH受容体抗体を得ることを試みているが、まだ十分にSpecificな抗体の精製は得られていない。本年度私達は、TSH受容体の局在と密接に関連するras遺伝子産物の免疫学的局在を光顕電顕的に観察しTSH受容体との関連についての検討を行っている。ras遺伝子産物P21に対するモノクローナル抗体をSchlanより入手し、これを用いてLAT甲状腺の免疫電顕を行った。その結果ras P21は濾胞腔側細胞膜面にそって存在することが明らかとなりTSH受容体もこの部位に存在する可能性が示唆された。また人甲状腺癌、腺腫等の材料に関して光顕免疫組織化学を行なった結果、癌ではやはり濾胞腔側細胞膜に強く発現した。正常甲状腺ではras蛋白は細胞質に弱く染色されるのみで細胞膜には発現していなかった。今後更に、ras P21の他、epidormal growth factor受容体の局在とも関連づけ甲状腺でのTSH受容体の局在について検討していく予定である。
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