新生児リンパ球のPHA誘導性IFN-Γ産生能は著しく低下していることはよく知られているが、その原因に関しては不明であった。今回新生児期のIFN-Γ産生調節機構に関し新しい知見を得た。 臍帯血リンパ球のIFN-Γ産生能はPHAあるいはインターロイキン2刺激の場合極めて低下しているが、OK432刺激ではほぼ成人レベルであった。また、臍帯血リンパ球を培養前に1500rad放射線照射するとPMA誘導性IFN-Γ産生は著しく増大するが、PHA刺激18瞬間後に照射してもそのような増大はみられない。これらのことは、新生児期のIFN-Γ産生能はすでに成人に近いものの、PHA刺激により放射線感受性のある抑制細胞が活性化されていることを示唆する。この抑制細胞のフェノタイプを明らかにするために、臍帯血T細胞サブセットを分離し放射照射後のIFN-Γ産生能をみた。【OKT(^+_3)】【OKT(^+_4)】【OKT(^-_8)】細胞分画にPHA誘導性IFN-Γ産生の増強がみられた。さらに臍帯血【OKT_4】陽性細胞をあらかじめ24時間PHAで刺激し、成人リンパ球に添加すると成人リンパ球のIFN-Γ産生は添加量に比例して抑制された。また、臍帯血リンパ球の24時間PHA刺激培養上清にもIFN-Γ産生抑制活性が認められ、この活性は透析により失活する。 以上より、新生児リンパ球のPHA誘導性IFN-Γ産生の低下は、PHA刺激により放射線感受性のOKT4産性T細胞が早期に活性化されIFN-Γ産生を抑制するためであり、その抑制機序の少なくとも一部は任分子の液性因子を介すると考えられた。
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