研究概要 |
我々は小児固形悪性腫瘍に対し、フローサイトメトリーを用いて悪性度の判定と抗癌剤スクリーニングを行なう事を目的として研究を行なっている。 1.過去の症例のホルマリン固定標本を切り出し、ポリトロンホモジナイザー及びペプシン処理を行ない、単細胞浮遊液を作成した。これにPIやフォイルゲン染色を行ないDNAを染色しフローサイトメトリーにて解析した。DNAヒストグラムのピークは得られたが、ホルマリン蛍光の影響もあり測定精度が十分ではなく、予後との関連を検討するには至っていない。励起可能な光源によりDAPI染色を行なってみる予定である。 2.当科にて培養している小児悪性固形腫瘍細胞株、TN-1,TN-2,GOTO,TGWなどを用いて、インビトロでCDDPなどの抗癌剤感受性試験を行なった。 (1).PIなどによりDNA染色を行ない、フローサイトメトリーによりDNAヒストグラムを求め、コンピューターにて解析し各細胞周期の割合を求めた。CDDPやアルキル化剤では、S期、【G_2】M期に細胞が蓄積し、その割合の変化により感受性の一面を判断できると思われた。 (2).FDAを用いて細胞を染色し、フローサイトメトリーにてmultiparameter analysisを行ない、viabilityの変化を求めた。感受性が高い細胞では数時間の抗癌剤との接触でviabilityの低下がみられ、迅速な抗癌剤感受性試験に利用しうる可能性があると思われた。 3.当科において作成した抗ヒト神経芽腫モノクロナル抗体をFITCにてラベルし、これと培養細胞を反応させ、フローサイトメトリーにて陽性率を測定した。この方法により、短時間内に陽性率が求められ、診断、治療へのモノクロナル抗体の応用への可能性が示された。
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