研究概要 |
角膜ヘルペス感染時の細胞性免疫反応について, これまでに(1)Balb/cマウス角膜ヘルペス感染7日後の局所リンパ節には, 脾に比して約10倍の活性をもつ細胞障害性T細胞(CTL)が誘導される. (2)これらCTLを抗L_3T_4抗体, 抗Lyt22+補体処理によりsubsetに分けBalb/cヌードマウスに移入するとL_3T_4^+細胞, Lyt2^+細胞の両者が存在するときに, 最もよく防御的に働くことを明らかにした. 一般にHSVに対するCTL活性はsuppressorT細胞が誘導されるため, invitroでの培養なしには検出されにくいとされて来た. 今回私達は(1)の如くに得た局所T細胞を(a)IL-2+UV不活性化ウイルス, (b)IL-2+liveウイルス, (c)Balb/cマウス胎児線維芽細胞にHSVを24時間感染しマイトマイシンC処理を行ったものをstimulatorとして5日間培養したものに分け, それぞれによって誘導されたT細胞を抗L_3T_4, 抗Lyt22抗体+補体処理によってsubsetに分画した. これらをスードマウスに移入したのち, ヌードマウス角膜にHSVを感染し, それぞれのT細胞分画の抗HSV活性を検討した. その結果(1)(a)のUV不活性化ウイルスを用いたものではL_3T_4^+細胞のみが防御能を示し, 本来のCTLのLyt2+細胞は全く活性を示さない. (2)(b)の場合はhelper, suppressor/cytotoxicT細胞ともに誘導されない. (3)(c)の場合のみL_3T_4^+細胞の他にもLyt2^+細胞にも活性がみられることが明らかになった. これらの結果は, これまでHSV感染に対するCTLが, helper, DTH細胞であるという説に対して, それがinvitroでの不活性化抗原により, 人為的に誘導されたものであることを示すとともに, virus感染細胞がある場合, 両者が誘導されることから, これまでのin vitro培養なしに, ヌードマウスに移入した際, 両方のsubsetが必要であることを再確認したものである. 角膜ヘルペス新鮮分離株の制限酵素によるfingerprintingでA型変異が皮膚分離株が少ないことがわかった.
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