研究概要 |
1.カルバゾマイシンB(【I】)の生合成:これ迄に炭素起原が未定のC-2,C-11の前駆体を追求するためまず【^(14)C】標識化合物の投与実験を行い、表1のような結果が得られた。そこで[1,2,3-【^13C-3】]アラニンを培養液に投与して得た(【I】)の【^(13)C】-NMRを測定したところ図1のようにC-2とC-11にJ=45Hzで【^(13)C】-【^(13)C】カップリングが観測され、またC-1,C-10においてもJ=44Hzで【^(13)C】-【^(13)C】カップリングが観測された。この事実及び表1の結果より、ピルビン酸(アラニン)のC-2,C-3が(【I】)のC-2,C-11へ導入され、またそれは(アセチルCoAを経由して)C-1,C-10へも導入される事が判明し、(【I】)のすべての炭素起原が図2のように解明された。ピルビン酸(アラニン)の導入の配列方向性の決定は来年度に行う。 2.類縁体の単離と耕造:生合成研究の途上[3-【^(14)C】]Trpが高率で(【I】)に導入される事が判明したので、[3-【^(14)C】]Trpを投与した培養液のオートラジオグラフィー上で高い放射活性を示す物質の精製を行いCarbazomycin C(【III】),D(【IV】),E(【V】),F(【VI】)を単離しその構造を【^1H】-,【^(13)C】-NMR,X線解析により図3のように決定した。これらは数種の植物病原性カビ類に対し阻害活性を示した。
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