研究概要 |
1.放線菌-大腸菌シヤトルコスミドの構築 λファージDNAのcohesive領域を切り出し, 大腸菌プラスミドpUR222(ampicillin耐性及びβ-galatctosidase遺伝子の一部を含む)に連結しコスミドpUR222::cos約3Kbを構築した. これをもとに下記の2種の放線菌-大腸菌シヤトルコスミドを構築した. シヤトルコスミド1は放線菌内で多コピーのプラスミドpIJ101由来のpIJ703と上記コスミドとを連結して作成した. シヤトルコスミド2は放線菌内で単コピーのプラスミドSCP2^*の複製領域及びチオストレプトン耐性遺伝子と上記コスミドを連結して作成した. 2.シヤトルコスミドと外来DNAとの連結反応及び形質導入条件の検討 シヤトルコスミド1と2を制限酵素で1ヶ所切断した後, Sau3Aで部分消化した放線菌DNAを種々の混合比で連結し形質導入の効率を検討した結果, ベクターと外来DNA比が3:1の時が最も良いことが明らかとなった. またそこで得た形質導入体から得たプラスミドを放線菌S.lividansに導入したところシヤトルコスミド1より得た組換えプラスミドのほとんどは欠失を生じていた. 3.ポリケタイド抗生物質生合成遺伝子のクローニング 上記で作成したシヤトルコスミド2を用いてポリケタイド抗生物質kalafungin,nanaomycin methylester及びavermectin生産菌の遺伝子ライブラリーを作成しそれぞれ1〜4×10^4個の形質導入体を得た. これらの遺伝子ライブラリーについて既に単離されているポリケタイド抗生物質actinorhodin生合成系の縮合段階の遺伝子をプローブとしてcolony hybridization法でクローンを選択した. これらのクローンから得た組換えプラスミドをS.lividansに導入し形質転換体を得たところkalafungin,nanaomycin methylester生産菌の遺伝子ライブラリーから得た組換えプラスミドの導入株は抗菌物質を生産した.
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