研究課題
本研究は、最近性能が著しく向上しつつある半導体放射線検出器に着目し、本素子を用いることによって、小型,高速の現場用のX線応力測定装置を開発・試作することを目的とする。研究は2ケ年計画で、初年度に当る昭和61年度は各種の放射線検出器の基本特性の評価研究を実施し、62年度の装置試作のための基礎的なデータの収集を行うとの方針で、研究を行った。研究の具体的経過並びに実績の概要を以下に要約する。1.放射線検出器の性能評価システムの組立て。各種検出器の特性を効率的に計測・比較するため、前置増幅器、マルチチャンネル波高分析器のシステムを整えた。更にデータの処理を目的としたインターフェイスプログラムを作成し、マイクロコンピュータによるデータ処理の自動化を行った。2.常温作動型半導体検出器の性能試験。PN接合型及びアモルファス・シリコン型の2種類の常温作動形半導体検出器の性能試験を行った。 評価項目は 【i】)Bias電圧特性 【ii】)温度特性 【iii】)エネルギー分解能 の3項目で、X線回折分光器に温度条件を変更しうる治具上に素子を置いてCu-KαFe(110)面の回折線の検出感度を比較した結果、アモルファスシリコン型検出器が実用性の点で優れる事を明らかにした。3.位置分解型検出器の試作アモルファスシリコン型検出器を位置分解検出器として利用する為の基礎実験を行い、従来の比例計数管と同一の光学系で比較試験を実施した結果、計数効率は比例計数管の1/10程度であるが実用に耐える事を実証した。今後受光面積を拡大して実験を行う予定である。
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