研究概要 |
う蝕の活動度,あるいは近未来におけるう蝕罹患の危険度の予測を病因論に基いて、免疫化学的手法により迅速かつ簡便に行うことを目的に第1年度は次のような研究を行った。 1.Streptococcus mutansの全菌体を抗原として家兎を静脈内注射免疫を施し、抗S.mutans血清を調製した。抗血清はS.mutansの血清型a→hに属する各1菌株について行った。 2.これらのうちで、S.mutansの亜種の代表的なものとして血清型c,およびg型のMT8148株,および6715株を大量培養し、培養菌体より血清型特異多糖抗原の抽出をRantzとRandallの方法で行った。同抗原をDEAE SephadexA-25のイオン交換クロマトグラフィー,続いてSephacryl S-200でゲルロ過を行って精製した。 3.6715株細胞壁を抗原としてBALBIcマウスを免疫後,脾細胞懸濁液とマウスミエローマSP210を融合させ、g型多糖抗原に対して反応性を示す抗体産生クローンをいくつか分離した。 4.抗6715家兎血清から硫安沈澱によりγ-グロブリンを精製し、ラテックス粒子(Difco社)と混和し感作した。このさいグリシン緩衛生食水(pH8.2)を用いた。抗体感作に要するγ-グロブリンはμgのオーダーでも可能であった。抗体感作ラテックスは同型の菌株から抽出した抗原溶液の極微量を用いると強く凝集したが、c型菌のそれではこのような現象は認められなかった。 5.今後さらに抗体感作ラテックスの凝集メカニズムを解明するとともにモノクローン抗体の調製を進める予定である。
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