研究概要 |
下記の研究計画を本年度の主要目的とした. (1)Balb/3T3細胞において, メチルコラントレン処理後胆汁酸処理によるトランスフォーメーションの促進が トポイソメラーゼ阻害剤で抑制されるか調べること. (2)仔牛胸腺よりトポイソメラーゼIを精製し 胆汁酸存在下での活性変化を調べること. 得られた研究実績は下記の通りである. (1)マウスBalb/3T3細胞は3ーメチルコラントレン処理后胆汁酸(リトコール酸)を継続処理することでトランスフォーメーションが促進された. 胆汁酸処理の際トポイソメラーゼ阻害剤であるナリジル酸,オキゾル酸処理を行うことでトランスフォーメーションは抑制された この結果は胆汁酸処理により生成するDNA損傷(DNAー蛋白貭クロスリンク)がトポイソメラーゼ阻害剤により抑制されたと云う結果に対応する. トランスフォーメーションの抑制はメチルコラントレン単独処理の場合にもみられた. 同じ阻害剤であるノボビオシンの場合 毒性効果が見られない条件では 抑制効果はなかった. (2)仔牛胸腺より, 細胞核抽出后, 0.35Nnaclを含む緩衝液で抽出し, ヒドロキシアパタイト, ホスホセルロースカラムによりトポイソメラーゼIを精製した. スーパーコイル状の閉環二重鎖DNAを基貭として, リラクゼーション活性を検定した. 腫瘍生成促進効果を有する胆汁酸はトポイソメラーゼIのリラクゼーション活性を阻害し, 促進効果を持たない胆汁酸は阻害効果を示さなかった. トポイソメラーゼIの阻害効果が細胞トランスフォーメーション促進とどの様な因果関係を持つか, またトポイソメラーゼ阻害剤のトランスフォーメーション抑制がどの程度一般化出来るか重要な今後の課題である.
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