研究分担者 |
北村 雅人 名古屋大学, 理学部, 助手 (50169885)
丸岡 啓二 名古屋大学, 工学部, 講師 (20135304)
鈴木 正昭 名古屋大学, 理学部, 助教授 (90093046)
早川 芳宏 名古屋大学, 化学測定機器センター, 助教授 (50022702)
山本 尚 名古屋大学, 工学部, 教授 (10135311)
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研究概要 |
典型金属および遷移金属触媒を用いる多くの新化学反応を創出した. これらの新合成手法は有用な生理活性物質の効果的合成法の開拓に直結した. 以下に具体的成果について列挙した. (1)Amplrlic反応系の概念を用いる有機リチウムのエノンへのマイケル付加反応の開発および不斉Diels-AHer反応を用いる光学活性アントラサイクリン中間体およびトロンボキサンA2受容体拮抗剤の直截合成に成功した. (2)核酸合成における最大き問題点の一つである保護基について検討を加え水酸基, アミノ基にはアリルオキシカルボニル基, リン酸基にはアリル基が, これまで開発された各種保護基に比類なく有効であることを見い出した. これらアリル系保護基はO値パラジウム触媒反応によって中性かつ温和な条件下に除去できる. このアリル系保護基を有効に用いることによりタンパク生合成阻害および抗ウイルス作用をもつ2-5A類およびその類縁体の大量かつ簡便合成法を確立した. (3)イソカルバサイクリンはプロスタサイクリンの化学的不安定さを克服するために合成された人工化合物であり, 一連の類縁体の中でも最も強い血小板疑集阻害作用をもつ. 有機スズ化合物あるいは光電子移動反応を巧みに活用したラジカル発生法を機軸としてこの化合物のもつ基本骨格と高選択的に構築し, 短段階かつ効率的な合成法を確立した. (4)合理的な設計思想のもとに合成したBINAPを配位子とする新規ルテニウム錯体を合成した. この触媒は不斉水素化に極めて有用であり, ほぼ100%の不斉収率で相当する光学活性体を与えた. この方法を用いて光学活性ラクトン類, 1β-メチルチエナマイシン, ナプロキセン, シトロネロール, ビタミン類およびプロスタグランジンが効率よく合成された. 本研究で購入したコンピュータ支援システムは, これらの合成開拓にあたって, 反応解析, 構造解析等を武器にして大きな役割を演じた.
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