研究課題/領域番号 |
62301077
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池上 淳 京都大学, 経済学部, 教授 (30025184)
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研究分担者 |
横田 茂 関西大学, 商学部, 教授 (80067686)
小林 昭 金沢大学, 経済学部, 教授 (20019326)
戒能 通厚 名古屋大学, 法学部, 教授 (00013011)
宮本 憲一 大阪市立大学, 商学部, 教授 (30046891)
丹羽 邦男 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10078272)
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キーワード | 土地税制 / 憲法的公準 / 台湾 / ヘンリー・ジョージ / 地方税 / 平均地権 / 都市計画 / キャピタル・ゲイン |
研究概要 |
わが国土地税制の国際的特質に関する研究は従来欧米との対比においてなされてきた。先進資本主義国という共通項の存在ゆえと思われるが、租税政策が裁量的政策としてではなく、憲法政策として実施されるべきものであるとすれば、租税政策の構成要素である土地税制もまた憲法的な公準としての性格を付与しうるであろう。そのような例として台湾を取り上げた。それは、土地価格の増加による不生産的な富裕者の増大を土地課税を通じて抑制することを社会進歩の保障とみなすというヘンリー・ジョージの土地税制哲学に影響され、国父・孫文が憲法に書きこむように提案したものである。地方税である地価税と土地増加税が中心となり、前者は78年以来課税標準の評価替が実施されていないので税収比率は低下し、後者が8割を超えている。しかし、急速な経済成長にともなう都市化と土地利用の転換を背景として、地価高騰、負担の逆進性、地価算定基準面積の不適合、法人への土地集中が生じ、憲法的公準である「平均地権」の実現が困難となっている。すなわち、土地均分という資本主義発展の初期の段階で組み立てられた構想を現代において実現するためには、土地管理の一元化、キャピタルゲインの社会還元、公共利用優先を含めた、都市計画による土地の計画的利用を推進する必要がある。本研究では、タイ、韓国などについても調査、研究を行ない、その成果はアジアの土地税制としてまとめられる。今後は、アジアにおいて大きな影響を有する中国の土地政策の研究にも取り組む。そこでは土地国有を原則としており、私有権と公共的利用との緊張関係がなく、そのために住民生活と土地の公共的利用が矛盾を生じ、環境問題等をひきおこすことが多い。このようにして、社会主義国の土地政策研究の必要性が明らかとなった。
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