研究課題/領域番号 |
62301077
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
財政学・金融論
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
池上 惇 京都大学, 経済学部, 教授 (30025184)
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研究分担者 |
横田 茂 関西大学, 商学部, 教授 (80067686)
小林 昭 金沢大学, 経済学部, 教授 (20019326)
戒能 通厚 名古屋大学, 法学部, 教授 (00013011)
宮本 憲一 大阪市立大学, 商学部, 教授 (30046891)
丹羽 邦男 神奈川大学, 経済学部, 教授 (10078272)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 土地税制 / 固定資産税 / 不均一課税 / 地価税 / 土地増価税 / 土地利用権 / 開発利益の公共還元 |
研究概要 |
我が国における最近の地価の高騰は社会問題化し、当局は超短期譲渡所得税の創設や国土利用計画法の監視区域の指定を行なっているが、土地供給促進に重点をおいた従来の土地税制に基本的な変化はない。固定資産税の前身は、国税地租及び府県税家屋税であり、第一次大戦を経て宅地租が増え、都市計画財源として市町村への委譲が求められた。先進国に共通する固定資産税の今日的問題は、(1)税収の非弾力性によって市町村税の根幹としての地位を失いつつあること、 (2)産業構造の変化に伴って法人関連のそれが減退していること、 (3)個人の生活用資産のそれの減税要求である。ここから事業用資産と生活用資産の不均一課税が求められ、緑地保全対策も念頭に置いたあり方が望ましい。国際的には、1983年のニューヨーク市不動産税改革では、税率が事業用資産のほうが住宅用に比べて0.2%高くなっている。しかし実際には76年以来の免税政策によって成長地区の助成となっている。またスウェーデンでは不動産関係諸税の申告書の提出から評価額の決定までの過程が相対的に簡潔明瞭である。これによって納税者主権、官僚主義回避、公正、信頼を実現する。しかし支払い利子控除等が課税ベースを侵食しており、また税制度が複雑であることが留意されるべきである。さらに台湾の土地税制は差別課税と累進税率の地価税および実現したキャピタルゲインを倍数累進で課税する土地増価税を内容とし、土地の有効利用の促進を土地利用権へのアクセスの機会均等化及び開発利益の公共還元を中心にして図っている。また日本の土地譲渡所得税が国税であるのに対し、台湾の土地増価税が地方税であることも大きな特徴である。タイでは森林、農地、都市のの三元的土地管理機構の下、土地私有権の確定があいまいで、土地取引税のみが存在している。各国の土地税制の特徴を以上のように類型化することで、日本の土地税制の特質を解明することができた。
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