研究分担者 |
村田 紀夫 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (90011569)
松尾 友明 鹿児島大学, 教学部, 助教授 (90041673)
坂田 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10051020)
菅原 康剛 埼玉大学, 理学部, 助教授 (70114212)
伊藤 精亮 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30003099)
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研究概要 |
伊藤と吉田は細胞膜・液胞膜の膜脂質主成分の一つであるセラミド配糖体の分子種組成について研究し, 耐寒性植物ではシヌ下飽和ヒドロキシ酸又はC_<14>やC_<16>の短鎖ヒドロキシ酸の含量が多く低温感受性植物ではC_<20>以上の長鎖とドロキシ酸が多く含まれていて, 24h:0ーt18:1^<8t>型と24h:0ーt18ー1^<8c>型の比は低温感受性植物で高いことが分かった. 村田は低温感受性植物(カボチャ)からアシル転移酵素を精製しsnー1位置に特異的にC_<16>脂肪酸を転移させることを明らかにした. 現在, 耐寒性植物との比較を行っている. 笠毛は耐寒性の異なるイネ培養株を作製し細胞膜と液胞膜のH^+ーATPaseと耐寒性との関係や低温下における活性の消長について研究し, 低温傷害と液胞膜H^+ーATPaseの失活の間に密接な関係のあることを見いだした. 坂田は無傷組織による細胞内pH分布やATPレベルを^<31>PーNMRで低温下で測定するための条件検討を行った. 松尾はいろいろな豆科植物の低温感受性の程度全組織から抽出された脂質中に含まれる飽和PG分子種の含量との間に密接な関係のあることを見いだした. 菅原・吉田はゼニゴケ培養細胞のプロトプラストが細胞壁を再生する過程で一時的に耐凍性を高めることを見いだし, 低温顕微鏡で凍結過程を観察したところ凍結による脱水収縮の程度が減少し細胞内凍結が起こり難くなることがわかった. 現在フリーズフラクチャー法で細胞膜の超微細構造の違いについて研究している. 藤川は細胞の凍結傷害と細胞膜超微細構造との関係を電子顕微鏡で調べ, 膜内蛋白質粒子の凝集が凍細に依ってもたらされることを明らかにした. 関谷はいろいろな甘橘類の耐寒性と膜脂質の分子組成について研究し, 飽和分子種の含量と耐寒性の間に強い相関の有ることを見いだしている. 以上のように現時点(63年3月)において当初予期したよりもおおきな成果が得られている.
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