研究課題/領域番号 |
62304020
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福島 康記 東京大学, 農学部, 教授 (70003746)
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研究分担者 |
菊間 満 山形大学, 農学部, 助教授 (40143086)
有永 明人 山形大学, 農学部, 教授 (90001461)
加藤 衛拡 筑波大学, 農林学系, 助手 (70177476)
赤羽 武 筑波大学, 農林学系, 教授 (60015659)
永田 信 東京大学, 農学部, 助教授 (20164436)
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キーワード | 林野土地問題 / 林政史 / 森林資源政策 / 林業経営 / 地代 / 山村社会 / 林野入会 / 大山林所有 |
研究概要 |
成果の一部(歴史的分布)を要約して示すこととする。 近年、林野をめぐる土地問題は激化している。企業ほかの土地買占めやリゾ-ト開発など森林の非生産的利用が激増し、乱開発による環境問題がいっそう広範な形で顕在化する一方、林業地では不在山林所有が増加し、経営の土地所有への奇生化を余儀なくされるなかで、行政担当者の直営による資源造成策も縮小に向かい、林野所有が資本の投資の対象になり、不動産化していくなど、森林資源政策の波綻が明確化した。 現在の林野土地問題は、日本が近代国家としての態勢を整える明治2・30年代までに形成される林野所有制度に根源を持っている。林野官民有区分は土地エンクロ-ジュアとしての意義を持ち、大面積の国有地・私的大山林所有を形成させた。森林資源政策はそれら土地所有を基盤として進められる。大所有は戦前期には地主用材林経営、あるいは薪炭生産をめぐる寄生地主経営として遅々たる資本主義化の道を歩むこととなる。近世中期以降形成されつつあった民間林業地においては、重なる恐慌と早熟的な資本主義の独占化、植民地・海外からの木材移輸入によって資本主義的発展の展望を失い、資本の前期的性格を払拭することができず、林業は地主・商人の蓄積の対象として拡大をみていく、旧地頭的丈所有地帯では薪炭原木の授受関係を基底とする寄生地主経営が展開をみる。国有林は小農維持を含め様々な国家的要請に答える役割を負わされるのだが、戦時期から高度成長期までの材料供給は、明治期に確立された施業案の決定的な破綻を招くこととなる。戦後、農地改革によって農地における半封建的生産関係が消滅し、それを基盤としていた大山林経営は解体に向かう。一方、農家造林は展開をみるが、それは農民層の分化・分解と裏腹の関係によって進展をみたという性格を持ち、やがて停滞する。
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