研究分担者 |
西元 諄一 鹿児島大学, 水産学部, 教授 (30041693)
志水 寛 京都大学, 農学部, 教授 (50036696)
木村 茂 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (10017056)
新井 健一 北海道大学, 水産学部, 教授 (20001597)
渡部 終五 東京大学, 農学部, 助手 (40111489)
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研究概要 |
魚介類の筋肉は我が国においては主要なタンパク質源である. 従って魚介類の筋肉タンパク質の研究は常に水産学における主要なテーマの1つで, 過去にも多くの知見が得られ,魚介肉の利用加工に大きな寄与をした. 本研究は近年進展の著しいタンパク質化学や分析技法に基づき,魚介類の筋原線維タンパク質やコラーゲンの性状を明確にして比較生化学に寄与する一方,応用面にも有用な指針を与えることを目的とするものである. 1, 数種魚類の普通筋から常法により,ミオシンを高純度に精製してその軽鎖成分を単離した. 3種の軽鎖A_1,A_2およびDTNB軽鎖は物理化学的および免疫化学的に互によく類似し,とくにA_1およびA_2で類似性が高かった. 他方,単離した魚類ミオシンのフィラメントはウサギのこれに比べて著しく短かく,これが原因で魚類ミオシンのMg^<2+>ーATPase活性の低いことが示唆された. 解糖系酵素のアクチンに対する結合割合はアルドラーゼ,グリセルアルデヒドー3ーリン酸脱水素酵素で高く,とくに前者はph6.0〜7.4でほぼ100%アクチンに結合した. また,細胞内プロテアーゼであるカルパインのミオシンに対する活性につき,SOSーゲル電気泳動により定量する方法を確立した. 2, 大正エビの筋肉中に遺伝的に異なる2種以上のコラーゲンの存在を確認した. また二枚見閉殻筋中のパラミオシンは,他種無脊椎動物のものよりリン酸化されやすいことが明らかにされた. 3, 数種サメ筋形質タンパク質の熱凝固は硬骨魚のそれとは異なること,サメのミオシンのアクチンに対する親和性は0.3M程度の尿素に対してはあまり影響されないことが明らかとなった. 硬骨魚筋原線維のゲル形成能の魚種特異性を確かめるとともに,これがミオシンのゲル化特性と相関することを明確にした. パラミオシンも混合割合によっては魚肉のゲル特性を改善することが示された.
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