研究分担者 |
立山 晋 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90041003)
後藤 直彰 東京大学, 農学部, 助教授 (70011989)
梅村 孝司 鳥取大学, 農学部, 助教授 (00151936)
見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
大島 寛一 岩手大学, 農学部, 教授 (20003733)
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研究概要 |
本年度は各研究分担者が所属する機関の存在する地域における, 牛の異常産の発生調査ならびに病理学的検索に力点をおいて研究した. 1.南九州地域の発生例 1987年1月すら12月の1年間に, 53例の異常子牛を収集して観察した. これらの症例の多くは奇形的変化を示し, アカバネ病とみなされる例はなく, chuzanウイルスによるとみなされる水無脳症と小脳形成不全例は1例のみであった. したがって, かって大流行したchuzanウイルス病の流行はなかったものと推測された. なお, 異常子牛中虚弱仔牛が12例も発生し, この本態究明も興味がもたれる. 2.中国地方の発生例 この1年間に67例の異常子牛を収集した. これらの中にはウイルスに起因する疾患も含まれるが, 発育不良で代表される原因不明の病例も多かった. 収集した材料中小脳の形成異常例12例を選び, 形態学的立場から病因を含めた類症鑑別を試みた. その結果, アカバネ病, 遺伝病, 牛の下痢症ー粘膜病ウイルス感染, 先天性および周産期小脳萎縮の4病変を浮き彫りにした. 3.東北地方の発生例 1985年から1986年に岩手県に多発した(約6,500頭)アカバネ病例95例について, 病理学的に検索した. このうち内水頭症は81例, 関節拘縮症は12例, 両者合併例は2例であった. これらの例の発生時期と病型から, ウイルスの流行時期は夏期の8月から9月と推測された. 4.北海道の発生例 1987年から牛の下痢症ー粘膜病ウイルスによるとみなされる小脳低形成と内水頭症例が多発し, 7例を収集した. 本ウイルス感染では前者の変化が主体であるので, 後者の病変に注目した.
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