本年度は最終年度であるが、これまで2年間は、建屋改修工事のために風洞が使用出来なかったので、もっぱらレ-ザ・ドップラ-流速計の調整とこれによるデ-タ取り込みのための計算機プログラムの完成に時間を使って来た。最終年度1年間で、風洞の組立調整、自由剪断流を発生させる為の平板翼取り付け、測定およびデ-タ処理までを行うことになり、非常なハ-ド・スケジュ-ルとなった。このため乱流自由剪断流の発生法については当初の予定を多少変更して、過去に研究室として経験のある平板翼前線より発生するLong Bubble形の自由剪断流を使用することとし、実験条件の設定におけるトラブルの発生による時間の損失をさけるようにつとめた。その結果として以下の成果を得た。 1.2台のレ-ザ・ドップラ-流速計を同時に働かせてデ-タをとり、これをもとに、速度の空間2点相関を求めることに成功した。 2.ロング・バブル形の乱流自由剪断流における速度の空間2点相関を実測することにより、ロングバブル剥離点近くにみられる低周波変動が、その後下流領域にどのような影響をおよぼしているかについて、いくつかの定量的情報を得た。 3.レ-ザ・ドップラ-流速計を使用して速度空間2点相関を求めるときの問題点として、二台の信号処理器間の同期の問題を究明し、わずかなクロックの差であっても続けて多量のデ-タを集録すると結果には大きなかたよりが生ずることをつきとめ、この解決法として多重のデ-タ集録法を考案した。
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