研究課題/領域番号 |
62440026
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
森本 武利 京都府立医科大学, 医学, 教授 (30079694)
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研究分担者 |
仲井 幹雄 京都府立医科大学, 医学, 助手 (60201662)
能勢 博 京都府立医科大学, 医学, 講師 (40128715)
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キーワード | 体温調節 / 温熱脱水 / 中心静脈圧 / 脈管コンプライアンス / 循環血液量飲水行動 |
研究概要 |
本年度は体温、体液および循環機能の接点として中心静脈圧に焦点をあて、その維持機構を中心に解析を加えた。まず脈管コンプライアンスに及ぼす交感神経の影響について、イヌを用いて解析を試みた。循環血液量と中心静脈圧の連続測定を用い、頸髄ブロックおよび交感神経刺激剤投与時とについて比較すると、前者ではコンプライアンスの上昇がまた後者では著明な低下が認められ、交感神経による静脈系血管に対する調節の存在することが明らかとなった。また中心静脈系の血液量増加はANPを増加させることが知られているが、これをラットに投与した際の循環動態から、静脈系のコンプライアンスは変化しないが、脈管の透過係数が約50%増加し、血液量を低下させるように働くことが明らかとなった。さらにラットの血液量をアルブミン溶液負荷および利尿剤投与により等張性に変化させ、高温負荷時の循環動態について対照群と比較検討した結果、動脈圧および心拍応答には3群間に著明な差は認められなかったが、心拍出量および一回拍出量は体液量の多いほど高値を示した。また総末梢血管抵抗は低体液量群で高値を示した。以上の結果は高温負荷による血管拡張により血液が末梢に蓄積され、中心静脈圧が一定以下に低下すると末梢血管抵抗が増加し、それ以上の血管拡張を抑えると考えられる。すなわち末梢血管抵抗は中心静脈圧を介する反射により調節されていることが示唆された。その他ラットを用いて脱水回復の可能な水分の食塩濃度範囲の決定を行った他、高濃度のカリウム溶液のみを与えた場合、細胞内液量はカリウムの摂取量に比例して回復するが、細胞外液量はかえって低下を示することが明かとなった。イヌを用いて飲水時の中心静脈圧の上昇機転を明かにすべく、胃瘻から水分または空気を注入して実験を行ったが、胃内圧の上昇のみでは中心静脈圧の変化は認められなかった。以上CVPの役割及び調節に関し多くの知見を得た。
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