研究分担者 |
平柳 要 日本大学, 医学部衛生学教室, 講師 (20189864)
伊藤 雅夫 日本大学, 医学部衛生学教室, 講師 (40059887)
宮本 晃 日本大学, 医学部衛生学教室, 助教授 (40150271)
渡辺 直隆 日本大学, 工学部・電気工学科, 講師 (20120595)
小沢 友紀雄 日本大学, 医学部第二内科, 助教授 (80059245)
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研究概要 |
本年度の研究計画は, 設備備品である傾斜台付き下半身陰圧負荷装置の設置と調整であった. これについて研究代表者は, 宇宙開発事業団の医学嘱託として, 筑波宇宙センターに設置した日本人宇宙飛行士の特殊環境訓練用の下半身陰圧負荷装置の開発を指導し, NASAなどの装置も実地調査した経験を活かして, 最良の装置を設計した. 特徴の(1)は, -10°〜+90°まで連続可変の傾斜台がついていることで, 実験の前処理として約一時間, 臥床および6°ヘッドダウンの姿勢をとらせる必要があり, 事業団ではその度に大変な騒ぎであったが, 傾斜台を組込むことによって被験者に外乱を与えずにヘッドダウンが可能になった. 特徴の(2)は負荷される陰圧の範囲で, 当初の予定では-60mmHgまでを考えたが, その後世界の趨勢はより高い陰圧の方向に進んでいることが判明し,仕様を変更して-100mmHgまで引けるようにした. 陰圧能力も予想を上まわり, -100mmHgの陰圧が10秒程度で達成出来た. この陰圧能力は持続精度とも密接に関係するので,本装置は持続精度も高いことが予想される. 事業団の装置では陰圧のシールドが不完全で, 腰の部分から空気が入りこむという問題があったが,本体とスカートが密着する部分を充分広くとることで対処した. もう一つの問題点であった足首の固定については, 内部に支持棒を付け, 足の先を固定した器具が支持棒をスライドするようにして足に力が入るのを防いだ. 陰圧で体が装置の中へ引込まれるのを防ぐ器具としては, 事業団は自転車のサドルを用いたが, 力が一部に集中してしまうので, 本装置ではベルトによって圧を広い範囲に分散させてサポートするようにした. 外型は卵型をした透明のプラスティックで, 全体に非常にスマートなものが出来た. この装置は昨年12月に開催された日大宇宙航空科学シンポジウムで, 米国, 西独の超一流の宇宙送学者達8人を招いた会場で展示を行ない,多大の賞賛をあびた.
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