研究課題/領域番号 |
62440034
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
谷島 一嘉 日本大学, 医学部, 教授 (40010029)
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研究分担者 |
平柳 要 日本大学, 医学部, 講師 (20189864)
伊藤 雅夫 日本大学, 医学部, 講師 (40059887)
渡辺 直隆 日本大学, 工学部, 講師 (20120595)
宮本 晃 日本大学, 医学部, 助教授 (40150271)
小沢 友紀雄 日本大学, 医学部, 助教授 (80059245)
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キーワード | 無重力 / 6゚ヘッドダウンティルト / 下半身陰圧負荷 / 起立耐性低下 / 宇宙医学 / 宇宙環境模擬 / LBNP / 強制体液移動 |
研究概要 |
本年度も前年度に引き続き、以下に示すような種々の実験条件の組み合わせの下で実験を行なった。各群6ないし10名の被験者について、6゚ヘッドダウンティルトを一定時間(1時間、3時間、および12時間)続けた状態で下半身に陰圧(-20mmHgおよび-40mmHgを各30分、または-30mmHgを1時間)を負荷して、下肢インピ-ダンスプレティスモグラム、心電図、非観血連続血圧、エコ-心電図などの循環動態計測、および血漿中の特殊ホルモンなどの測定実験を実施した。比較的短時間のヘッドダウンにおいては前後に70゚ヘッドアップティルトを実施して起立耐性の低下を評価し、12時間のヘッドダウンにおいては水分摂取制限を行ない、ヘマトクリットなどを測定して脱水状態を確かめ、前年度までの実験で分かっていた起立耐性の低下が起こり易い状態にあることを確認した。これらの各群に対して、(1)補液および薬剤(硫酸アトロピン)、(2)大腿部カフによる血液の移動制限、(3)下肢の筋肉ポンプによる血液の一部強制移動などを行ない、起立耐性低下に対する対策として妥当性があるかどうかの影響を調べた。 結論として、(1)の補液は末梢抵抗減少型の起立耐性低下の回復に特に有効であり、薬剤は当然のことながら迷走神経緊張型の起立耐性の低下の例に有効であった。(2)の大腿部カフは逆に起立耐性低下を悪化させ、(3)の下肢の筋肉ポンプも同様に結果が悪かった。こうした理由について種々議論がなされた結果、次のような原因が類推された。つまり、大腿部カフはかえって静脈を閉塞して下肢への血液貯留を増加し、循環血漿量の低下を助長したのではないか。与圧服のように下肢全体を圧するのならば有効であったかもしれない。また下肢の筋肉ポンプについては、稼働時間が短時間で持続しなかったため、筋肉内にその後の血液の貯留がかえって起こり易かったためではないかと考えられた。
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