研究分担者 |
石原 智子 東京大学, 医学部・産婦人科, 助手
石川 弘子 東京大学, 医学部・産婦人科, 助手 (50191870)
矢野 哲 東京大学, 医学部・産婦人科, 助手 (50182390)
武谷 雄二 東京大学, 医学部・産婦人科, 助教授 (10114539)
桑原 慶紀 東京大学, 医学部・産婦人科, 助教授 (20010324)
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研究概要 |
本年度は子宮内膜と卵巣におけるepidermal growth factor(EGF)の意義を検索した.(I)子宮内膜とEGF:子宮内膜にはEGFの特異的受容体が存在することを明らかにした. 月経各期を通じてKd値は3,8×10^<-9>Mで一定であるが,結合数は卵胞期初期には少なく卵胞期後期にむけて漸増し,排卵周辺期にpeakとなり黄体中期以後急減する.EGF受容体量はestrogenにより増量し,黄体期の血中レベルに相当するprogesteroneにより減少することがin vitro系で立証された. EGFは細胞培養系での増殖作用は極めて弱く10ng/mlでDNA合成量を約20%増加させる程度である.一方,EGFは培養子宮内膜細胞内のgly,ogen(G)量を1〜100ng/mlの濃度範囲で用量反応的に低下させた.EGFは,またprpgesteroneによるG含量の増加を完全に抑える.EGFのG代謝への作用機序としてG産生酵素活性には変化させないが,G分解酵素活性を高めることにより,結果的にG含量が低下する. 従ってEGFはGの分解によるglu,oseの遊離を促進することにより,妊卵へのエネルギー供給を保証することが示唆された.(II)卵巣とEGFヒト卵胞液中にはimmnnoreactiveなEGFが存在し,しかも卵胞の発育とともに濃度が上昇する.顆粒膜細胞培養系においてEGFはinsulinの共存下でのみ,0,1〜50ng/mlでDNA合成を用量反応的に増加させた.FSHや性ステロイドホルモンは,EGFの増殖に影響しない.一方,EGFはFSHによりestradiol産生を約60%抑制するが,その機序の1つにaromrtase活性の抑制がある.他方,EGFはprogesteroneおよびprogesteroneおよびprostaglandinの分泌に関しては,hcGと同様に促進的に作用する.また,EGFは卵に作用してgerminal vesicle break townを促し,卵細胞質の機能成熟の指標である解糖系の律連酵素であるphosphofrnctoknase活性を高めることにより顆粒膜のみならず卵へも直接的に作用し卵成熟に関与すると推定される.
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