研究課題/領域番号 |
62440068
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水野 正彦 東京大学, 医学部, 教授 (10010175)
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研究分担者 |
久具 宏司 東京大学, 医学部, 助手 (20177976)
綾部 琢哉 東京大学, 医学部, 助手 (50184247)
矢野 哲 東京大学, 医学部, 助手 (50182390)
武谷 雄二 東京大学, 医学部, 助教授 (10114539)
桑原 慶紀 東京大学, 医学部, 助教授 (20010324)
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キーワード | EGF / 卵胞発育 / 顆粒膜細胞 / インターロイキン1 / アロマターゼ / 子宮内膜 / グリコーゲン |
研究概要 |
本年度はEGF(epidermal growth factor)の卵巣及び子宮内膜への作用に関し検索した。〔I〕卵巣におけるEGFの作用:(i)ヒト卵胞液中にはEGF様の免疫活性が検出され、卵胞発育に伴い活性の増加がみられた。(ii)顆粒膜細胞には2種類のEGF受容体が存在しFSH.,E_2,testosteroneなどにより結合量が増加した。(iii)EGFはinsulin存在下で0.1〜50mg/mlの範囲で用量反応的に顆粒膜細胞の増殖を促した。FSHはEGFの増殖作用には影響を与えなかった。(iv)EGFは顆粒膜細胞のprogesteroneとprostaglandinの分泌を刺激した。(v)EGFはFSHにより誘導されるaromatase活性を抑制した。(Bu)_2CAMPにより上昇したaromatase活性をも抑制することよりpost receptorでの作用と考えられた。(vi)EGFの卵子に対する作用も明らかにされた。即ち卵胞培養系においてEGFは卵のgerminal vesicle breakdownをHCGと同様促進する。又卵の培養実験においてもEGFは卵の細胞質の成熟の指標となる解糖系の律速酵素、phosphofructokinase活性を上昇させた。〔II〕interlewkin-1(ILー1)と生殖機能:腹腔内貯留液中にlymphokineの一種であるILー1が存在し、子宮内膜症では増量することを示した。本疾患に附随する不妊の原因の一つとしてILー1の顆粒膜細胞の代表的な機能であるaromatase活性の障害、或いはILー1が受精卵の分割を阻害することを明らかにした。〔III〕EGFの子宮内膜における作用:(i)子宮内膜にはEGF受容体が存在し、性ステロイドホルモンによりそれが調節されていることを見い出した。(ii)EGFは子宮内膜のprogestin受容体数を増加させることによりprogestin結合量を増量させることを報告した。(iii)EGFは子宮内膜のprostaglandinE_2分泌を促し、その効果はE_2前処置により増強することを認めた。(iv)EGFは子宮内膜のglycogen代謝にも関与する.即ちEGFはglycogen synthetaseとglycogen phosphorylase活性を共に高め、結果的にglucoseの放出を促進すると考えられる。
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