研究課題/領域番号 |
62440068
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
産婦人科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水野 正彦 東京大学, 医学部(病)・産婦人科, 教授 (10010175)
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研究分担者 |
梁 善光 東京大学, 医学部(病)・産婦人科, 助手 (20220808)
石原 智子 東京大学, 医学部(病)・産婦人科, 助手 (30201320)
矢野 哲 東京大学, 医学部(病)・産婦人科, 助手 (50182390)
堤 治 東京大学, 医学部(病)・産婦人科, 助手 (60134574)
武谷 雄二 東京大学, 医学部(病)・産婦人科, 助教授 (10114539)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | epidermal growth factor / ヒト子宮内膜 / 子宮内膜の増殖と分化 / 卵胞発育 / 卵の成熟 / 子宮内膜症 / 不妊 / インタ-ロイキン1 |
研究概要 |
<1>子宮内膜の増殖には自らが分泌する増殖因子であるepidermal growth factor(EGF)が関与している可能性を示した。また子宮内膜にはEGF受容体が存在し月経周期に応じて特有な変動がみられることを明らかにした。 <2>EGFは子宮内膜の170KDの蛋白のリン酸化をおこし、増殖以外にグリコ-ゲン代謝、プロスタグランジン分泌、プロゲスティン受容体量の調節など内膜の機能にも多面的に関与し、着床現象に関っている可能性が呈示された。 <3>卵胞の顆粒膜細胞の増殖にEGFが関与していることが示された。EGFはさらに顆粒膜細胞のエストロゲン合成酵素(アロマタ-ゼ)、プロスタグランジン分泌、プロゲステロン分泌などにも促進的に作用している。以上よりEGFは局所因子としてゴナドトロピンの作用を修飾することにより、卵胞発育や排卵機構に関与しているものと推測された。 <4>卵の成熟にEGFは促進的に作用することが示された。特に卵の細胞質内に存在し、糖代謝の重要な酵素であるphosphofruktokinaseを卵のみの培養系で活性化させることより卵に対する直接作用が確認された。 <5>子宮内膜組織が異所性に増生する疾患である子宮内膜症においてその発育にEGFが関与している傍証が得られた。さらに子宮内膜症の組織と正常な子宮内膜との増殖調節系や薬剤に対する反応性の異同を明確にした。 <6>子宮内膜症は不妊を随伴することが臨床上の大きな問題となっている。不妊の機序として腹腔内の炎症性変化に注目した。特にマクロファ-ジの分泌するインタ-ロイキン1が卵胞発育や胚発生など生殖過程の初期段階のステップで障害的に作用していることを見い出し、これが不妊の機序の1つである可能性を指摘した。
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