研究課題/領域番号 |
62450001
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤本 隆志 東京大学, 教養学部, 教授 (20001795)
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研究分担者 |
今井 知正 東京大学, 教養学部, 助教授 (50110284)
高橋 哲哉 東京大学, 教養学部, 助教授 (60171500)
宮本 久雄 東京大学, 教養学部, 助教授 (50157682)
山本 巍 東京大学, 教養学部, 助教授 (70012515)
杖下 隆英 東京大学, 教養学部, 教授 (00012261)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 生 / 死 / 行為 / 倫理 / 規範 / 自己知 / 自由 / 生命倫理 |
研究概要 |
本研究は、生命諸科学及び生命工学的諸技術の発展に由来する現代の人間の生と死をめぐる様々な具体的諸問題に対して、哲学的・倫理学的立場から、それらの人間学的基礎を提供しようと意図されたものであるが、およそ人間の「生と死」が問題とされる場合、それは自然科学の対象とされた限りでの生命体の生成消滅とはおのずと区別されたものでなければならず、「生と死」のいわばかけがえのない唯一の基盤である「わたし」とは何かという哲学古来の最も根源的な問いが惹起する諸々の哲学的課題の解明と不可分の形でしか究明され得ない。この点を踏まえて開始された本研究の具体的研究成果は、概略すれば以下の通りである。 1.「生」と「世界」との意味を支えるものとしての「わたし」の存立機制を、(1)現代の分析哲学の手法を用いた人格の同一性問題の分析、(2)ソクラテスープラトン哲学における「自己知」の成立構造の解明、(3)アリストテレスにおける「個体」存在の生と死とを照射する言語地平の析出、といった多角的な観点から考究し、 2.そのような「わたし」の「生」を特徴づける実践的行為の在り方に関しては、(1)その論理的構造を、古代・中世から現代にいたるまで行為論の中心的問題の一つである「実践的推論」の固有性に即して明らかにし、(2)「自由」な行為の成立根拠とその本質規定とを、特にトマス、スピノザ等の独創的な思索の成果の中に探った。また、 3.「生命倫理」の人間学的基礎づけに関しては、(1)共同体の成員の行為を規制する規範的倫理との相関における人間の行為の様相を、言語行為論の諸成果、社会的規範の発生史的考察等を援用しつつ究明し、(2)今後あるべき研究方針として、いわゆる「規範的倫理学」と「メタ倫理学」との相補的な展開の重要性を確認した。
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