渓流取水工群と貯水池とからなる利水システムは (1)貯水池への土砂礫、流木等の流入を防止することができ、貯水池の寿命を延ばすことができる。 (2)集水面積を拡張することにより、貯水効率を高めることができる。等の特性を有する。 昭和39年、仁淀川水系面河川支流割石川上流に建設された、面河ダムは、自己流域16.83Km^2、有効貯水量2680万m^3であるが、大小9渓流取水工群とによる利水システムを形成して、集水面積は76.13Km^2に拡張され、貯水効率は非常に高くなっている。土砂礫の推積率は誤差の程度で、ほとんど問題にされていない。しかし、渓流取水工の機能が十分でないために、維持管理には相当の労力と費用をかけているようである。 11渓流取水工群からなる、庄川水系尾上郷発電水力、34の渓流取水工群からなる、熊本県チッソ発電水力等にみられるように、それぞれ、河川地形、取水量に応じた渓流取水土が工夫されているが、土砂礫の流入、落葉による目詰りの処理には苦労しているものが多い。 本研究の利水システムを推進するに当たって最も重要な問題の一つは、水理構造が簡単で、堅牢であり、安定した計画取水ができて、維持管理が容易な渓流取水工を設置することである。本研究に関連して開発している、バースクリーン後方取水型渓流取水工は、水理実験と供に、昭和61年水資公団三重用水建設所河内谷に設置された落差2m、取水量3.5m^3/sの渓流取水工ならびに昭和61年、62年長野県夜間瀬地区用水事業として奥志賀高原の5渓流に設置された。落差0.5〜1.0m、取水量0.04〜0.1m^3/sの渓流取水工について、経年的機能調査を行なっているが、渓流河川地形取水目的、取水量に応じて水理構造諸元を決めることができ、最も汎用性のある渓流取水工であることを確かめている。
|