研究課題/領域番号 |
62470135
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢島 治明 京都大学, 薬学部, 教授 (00025678)
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研究分担者 |
船越 奨 京都大学, 薬学部, 助手 (10135593)
藤井 信孝 京都大学, 薬学部, 助教授 (60109014)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 非対称ジスルフィルド形成反応 / Sー保護システインスルホキシド / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / インシュリン / リラキシン |
研究概要 |
分子内に数個のジスルフイド結合を有するペプチドの合成は、化学合成のみならず、遺伝子工学を用いた生合成に於いても困難な問題である。一般にジスルフイドの形成には高度希釈液中での空気酸化法が用いられるが、多量の重合体の形成は避けられず、収率の低下をもたらす。この問題を解決するために我々は新しいジスルフィルド形成反応の開発に取り組んできたが、1987年、以下の二つのタイプのジスルフィルド形成反応を見出した。〔1.Tl(CF_3ーCOO)_3酸化によるSー保護システインを直接シスチンに変換する反応、2.Sー保護システインスルホキシドを用いる非対称ジスルフィルド形成反応〕 両反応ともいかなるペプチドも溶解可能なトリフルオロ酢酸中で操作できるという利点を有している。 次いでこれらの新規ジスルフィルド形成反応を実際の生理活性ペプチドの合成に応用し、1、の方法を用いてoxytocin,urotensinII、ヒトのα及びβーカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を合成し、2、の方法を用いて、oxytocin、ニワトリCGRPを合成してその有用性を確認した。また2、の方法は方向性を持った反応で、特に非対称ジスルフィルド形成反応に有用であり、二本鎖非対称シスチンペプチドの合成に応用できることをモデルペプチド、H-Cys-Ala-NH_2 H-Cys-Gly-OHの合成により立証した。 以上の知見を基に、これら二種の反応を応用して、ジスルフィルド結合により架橋された二本鎖(A鎖、B鎖)より成るインシュリン、リラキシンの合成計画を立て、液相法にてインシュリンのA、B鎖、Fmoc型固相法でリラキシンのA鎖、B鎖を合成した。今後、インシュリン、リラキシンのスルホキシド体への酸化法を検討し、両物質の全合成を行う計画である。
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