研究概要 |
1.ヒト型モノクロ-ナル抗体 (1)ヒト-マウスヘテロハイブリド-マの抗体産生の安定性。ヒト-マウスヘテロハイブリド-マのヒトk型L鎖、λ型L鎖H鎖の安定性につき、蛍光抗体法にてcytoplasmic staining をして検索したところ、ヒトk型L鎖はλ鎖、H鎖に比較して遙かに不安定であり、限界希釈法によってもクロ-ニングしずらい事が明らかになった。この事は、遺伝子レベルでもSouthern blot分析に於いて明かになった。 (2)ヒト型モノクロ-ナル抗体の抗原特異性。抗体産生ハイブリド-マ細胞は、各種腫瘍細胞とのcell target ELISAにより、7個のクロ-ンが陽性クロ-ンとして検出できた。クロ-ニングの過程で2クロ-ンが抗体を産生しなくなり、残りの5クロ-ンについて検討を続けた。このアイソタイプは全てIg M、λ型であった。しかし、この抗体は、アルブミンとも反応することから、腫瘍関連抗原に対するモノクロ-ナル抗体ではなく、抗アルブミン抗体として自己抗体の可能性、及び、高濃度の分泌量の為に非特異的に吸着した可能性等も考えられた。 2.マウス型モノクロ-ナル抗体 抗ヒト腫瘍特異及び関連抗原の性状を探究する目的で、CEA関連抗原の一つであるNCA(nonspecific cross-reacting antigen)と強く反応するクロ-ンをマウス-マウスハイブリド-マから選んだ。 (1)ヒトCEA関連抗原蛋白の性状。SDS-PAGEにて解析した結果では従来1個の蛋白であると言われていたNCAが複数の蛋白である事が明らかになった。これをそれぞれ分子量の違いからNCA-90とNCA-55と言い、消化器癌細胞株ではNCA-90、顆粒球中ではNCA-55が多く存在する。また、NCA-55は多形性があり4種の等電点(pH 4.8,5.2,5.6,5.8)を持つ事も判明した。
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