研究概要 |
1.ヒト型モノクロ-ナル抗体 (1)ヒト型モノクロ-ナル抗体の作成。ヒト末梢血及びリンパ節のリンパ球とマウスミエロ-マ細胞P3U1または、Ag8.653とを細胞融合した。 (2)ヒト-マウスヘテロハイブリド-マの抗体産生の安定性。このハイブリド-マのヒトκ型、λ型L鎖、H鎖の安定性につきcytoplasmicstainingをして検索したところ、ヒトκ型L鎖はλ型L鎖、H鎖に比較して遙かに不安定であり、クロ-ニングしずらい事がクロ-ンレベルおよび遺伝子レベルでもsouthern blot分析にて明かになった。 (3)ヒト型モノクロ-ナル抗体の抗原特異性。抗体産生ハイブリド-マ細胞は、各種腫瘍細胞とのcell target ELISAにより、7個のクロ-ンが陽性クロ-ンとなり、5クロ-ンがクロ-ニングされた。このアイソタイプは全てIg M、λ型であった。しかし、この抗体は、アルブミンとも反応することから、腫瘍関連抗原に対するモノクロ-ナル抗体ではなく、抗アルブミン抗体として自己抗体の可能性、及び、高濃度の分泌量の為に非特異的に吸着した可能性等も考えられた。 2.マウス型モノクロ-ナル抗体(1)モノクロ-ナル抗体の作成。ヒト腫瘍抗原の性状を探究する目的で、膵臓癌細胞株BxPC-3をBALB/Cマウスに免疫してマウスミエロ-マ細胞PAIとで細胞融合した。CEA関連抗原であるNCA(nonspecific cross-reacting antigen)と強く反応するクロ-ンを選んだ。 (2)ヒトCEA関連抗原蛋白の性状。 SDS-PAGEにて解析した結果ではNCAが複数の蛋白である事が明かになった。これをそれぞれ分子量の違いからNCA-90とNCA-55と言い、消化器癌細胞株ではNCA-9、顆粒球中ではNCA-55が多く存在する。また、NCA-55は多形性があり4種の等電点(pH4.8,5.2,5.6,5.8)を持つ事も判明した。
|