研究概要 |
1.供試品種の個体別特性比較と優良母株の選抜:日本ナスの'もぎ'房成リインドナスの'E12'および'E20'を供試し, 第1花の到花日数, 第1花の着花節位, 主枝上に着生する6段花房までの各花房当り着花数と着果数について調査を行った. その結果, 'もぎ'の到花日数と着花節位, 'E12', 'E20'の花房当り着花数と着果数などでかなりの個体差が認められた. これら多様性のある個体群の中から着花数の多い優良個体を各品種ごとに選抜し, 以後の葯培養のための供試個体として維持・増殖を行った. 2, 葯培養による半数体の育成: 各品種の花らいを経時的に採取して花粉を観察し, あらかじめ花らいの形状と花粉の発育段階との関連について調査した. 置床する葯については内部の花粉の発育段階によって区別し比較検討した結果, カルスの形成率は1核期中期〜1核期後期で最も高くなった. この場合の培養条件は, MS培地+1mg/lNAA+1mg/lkinetin+3%しょ糖, 25℃, 3000lx, 16時間照明とした. 葯培養によって得られたカルスは, 再分化培地MS+1mg/lkinetin+2%しょ糖に移植し, 数回の継代培養によって2〜3か月後に再分化幼植物を得たが, 半数体の発現率は極めて低かった. 培地MS+0, 1mg/l2,4ーD+0, 1mg/lkinetin+3%しょ糖またはDumasらのC培地+0, 01mg/l2,4ーD+0, 01mg/lkinetin+3%しょ糖と1〜7日間高温処理を併用した後再分化培地に移植することにより, 'E20', '早生真黒'などにおいてカルスを経由せずに胚様体が得られた. 3, 半数体の確認と同質2倍体の育成: カルス由来の再分化植物体('E12')と胚様体由来の植物体('E20', '早生真黒')で半数体が確認されたが, 胚様体由来の方がより効率的と判断された. 'E12'の半数体を供試し, 0, 1%コルヒチン溶液24時間浸漬を行った結果, 同質2倍体が得られた.
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